日本ブライダル文化振興協会と結婚情報サービス・ゼクシィは6月16日、新型コロナウイルスがブライダル業界に与えた影響について発表した。2020年4月~2021年3月の1年間で、約9500億円の損失があり、約27万組のカップルが結婚式を延期したと見込んでいる。

また2021年4月に始まった3度目の緊急事態宣言以降も、約400億円の売り上げの減少があったと試算しており、これまでにコロナによってブライダル業界が失った売り上げは約1兆円とした。

 

コロナによるブライダル業界へのダメージ

東京商工リサーチの調査によると、2020年度(2020年4月〜2021年3月)の結婚式場の倒産(負債額1000万円以上)は前年度比28.5%増の9件と、2年連続で前年度を上回った。このうちコロナ関連倒産は7件と全体の77.7%を占める。

①「ルミナスクルーズ」が倒産

ルミナスクルーズ(株)は、2020年3月2日に神戸地裁へ民事再生法の適用を申請し、同日保全・監督命令を受けた。西日本初の「新型コロナウイルス」関連の倒産となった。

 

②結婚式場を運営する「ラビアンローゼ」民事再生法の適用を申請

静岡県や東京都などで結婚式場を運営するラビアンローゼ(浜松市中区)と関連会社のウインクルは2020年4月21日に、静岡地裁浜松支部に民事再生法の適用を申請した。

 

③ウエディング衣裳&施設運営を行っていた「扇屋」に特別清算開始命令

結婚式場の衣装室でウエディングドレスなどの貸衣装サービスを展開し、グループ会社を通じて結婚式場の運営なども手掛けていた扇屋(大阪市北区)が大阪地裁へ特別清算を申請し、2021年2月19日に特別清算開始命令を受けた。

※特別清算とは
債務超過に陥った会社を清算し、消滅させるための方法で、倒産手続きのひとつ。

 

④通販大手の「千趣会」は婚礼事業を投資ファンドに売却

通販大手の千趣会は2021年3月23日、地方を中心に婚礼事業を手掛けるディアーズ・ブレイン(東京都)と大阪府内の式場を運営するプラネットワーク(大阪府吹田市)の子会社2社を投資ファンドに3月末に売却すると発表。新型コロナウイルスの感染拡大で婚礼事業が低迷しており、巣ごもり需要の拡大で堅調な通販に特化する。

 

⑤「ワタベウェディング」の事業再生ADR(裁判外紛争解決)申請

2020年12月期は約117億円の最終赤字となり、約8億6300万円の債務超過に転落した。ワタベウェディングは興和を割当先とする総額20億円の第三者割当増資を実施することなどを決議。2021年5月27日頃に開催する予定の第3回債権者会議で興和の下での事業再生計画が成立。2021年6月30日に株式併合により、興和の完全子会社となる予定。

 

⑥大阪の代表的な結婚式場だった老舗宴会場の「太閤園」を売却

「ホテル椿山荘東京」などを運営する藤田観光も、大阪の代表的な結婚式場だった老舗宴会場の「太閤園」(大阪市都島区)を創価学会に売却し、2021年6月末で営業を終了する。

 

⑦東京・九段下の「ホテルグランドパレス」営業終了

ホテルグランドパレスは東京・丸の内にあるパレスホテル(現パレスホテル東京)の姉妹ホテルとして1972(昭和47)年に開業した。地上24階建て、客室数456室で、皇居周辺では高層ホテルのはしりだった。同ホテルは2020年12月末に突如、2021年6月末での営業休止を発表。開業50周年の節目を来年に控えながら、事業継続を断念した。

 

⑧「近鉄」が8ホテルを米ファンド売却

近鉄グループホールディングス(GHD)は2021年3月25日、保有するホテル24カ所のうち、大阪や京都などにある8カ所を米投資ファンドのブラックストーンに10月に売却すると発表した。新型コロナウイルスの影響で鉄道やホテル事業の不振が続いており、資産を手放して財務基盤を強化する。

売却するのは、京都駅のそばにある「都ホテル 京都八条」(988室)や、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン近くの「ホテル近鉄ユニバーサル・シティ」(456室)、「都ホテル 博多」(208室)、「神戸北野ホテル」(30室)、「都リゾート 志摩 ベイサイドテラス」(108室)、「都リゾート 奥志摩 アクアフォレスト」(127室)、「都ホテル 岐阜長良川」(192室)、「都ホテル 尼崎」(185室)など。

 

⑨「阪急阪神ホテルズ」が6ホテルの営業終了へ

阪急阪神ホールディングスは31日、子会社の阪急阪神ホテルズが運営する大阪新阪急ホテル(大阪市北区)など6ホテルの営業を新型コロナウイルスの感染拡大で需要が低下しているため終了すると発表した。阪急阪神ホテルズは従業員数を現在の2,300人から800人減らし、25年度初めに約1,500人とする。

営業を終了するのは、「第一ホテルアネックス」と「吉祥寺第一ホテル」は2021年度末に、「第一ホテル東京シーフォート」は2022年度末に、「大阪新阪急ホテル」は2024年度末頃に、「千里阪急ホテル」は2025年度頃に、それぞれ営業を終了する。

 

回復傾向も厳しい現状が続く

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提供:日本ブライダル文化振興協会

日本ブライダル文化振興協会では、会員企業に挙式の状況などを調べるアンケート調査を実施。2021年5月の最新調査については、110社にヒアリング調査した。

コロナの影響を時系列でみると、1度目の緊急事態宣言が出された2020年4月は、2019年4月と比較した売り上げは6.6%に激減。2020年5月も前年同月比1.9%と、ほとんど結婚式が開催されなかった。

その後、売り上げが徐々に上向き、2020年11月には前年比53%まで回復。しかし2021年1月に2度目の緊急事態宣言、2021年4月に3度目の緊急事態宣言が発令されると、再び大幅な売り上げの減少が見られた。

通年で見ると、日本ブライダル文化振興協会が試算した2020年度(2020年4月~2021年3月)の売り上げは、2019年度に比べて7割近く減少。2019年のブライダル市場規模は1.4兆円と推計すると(経済産業省「特定サービス産業動態統計調査より)、約9500億円の減収があったとしている。

 

3度目の緊急事態で3割が延期

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提供:日本ブライダル文化振興協会

結婚式需要の回復が進まない原因の一つが、緊急事態宣言です。

2021年4月25日には、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象に出された緊急事態宣言が発令。その後、愛知県、福岡県、北海道、岡山県、広島県、沖縄県が対象に含まれた。東京都では、結婚式場ではアルコールとカラオケの提供は中止し、「1・5時間」や「会場の50%」での実施が要請された。

日本ブライダル文化振興協会では、緊急事態宣言中の挙式実態を調査。5月末時点で緊急事態宣言の対象地域で、結婚式を予定通りに実施したのは7割を下回った。

・68.5%が「挙式を実施」

・29.0%が「延期」

・2.5%が「キャンセル」

一方で、緊急事態宣言やまん延防止措置の対象外のエリアでは、91.4%が「挙式を実施」、7.3%が「延期」で、1.3%が「キャンセル」となり、ほとんど影響がない。緊急事態宣言の対象エリアかどうかで明暗が分かれた。

 

新郎新婦、参加者にPCR検査も

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提供:ゼクシィ

ゼクシィが利用者に「現在気になっていること」について複数回答でインターネットアンケート調査(2021年4月に実施し、351人が回答)したところ、75%が「招待ゲストが安心して参列できるとどうか」と回答。71%が「招待ゲストやご自身の安全面」、52%が「どんな感染対策を行えばよいか」と続いた。

コロナ対策に不安を感じる人が多い中で、感染対策を講じた新しい演出や挙式も注目されている。
オンライン挙式や、庭園を貸し切って野外で挙式できるプランを用意したり、飛沫防止のアクリル板にゲストがメッセージを書き込むなどの新しい演出も生まれている。中には、新郎新婦や列席者にPCR検査を提供する式場もあるという。

 

10・11月の繁忙期に向けて

これから暫くは閑散期に入り、10・11月の繁忙期に向けて、
①東京オリンピックで再びコロナが拡大しないか?
②ワクチン接種がどこまで進んでいるか?
が、ブライダル業界にとっては大きなKeyになりそうです。

しかし、コロナが治まってきたとしても実施率は回復すると思いますが、ブライダルを含め冠婚葬祭への参加人数の少人数化は、暫く続くことが予想されます。
コロナ禍であったため、著名人の方々の葬儀が殆ど家族葬になったことで、改めて大々的に披露宴をする意義、葬儀をする意義が問われるようになったと思います。

「これからも、それでいいじゃないの!?」と思われないように改めて施設側は、新時代に向けたその意義を見つめ直し、それを発信し、そして体感してもらえる結婚式や披露宴を考えなければ、本当の意味の回復は無いかもしれません。

 

 

株式会社フォーサイトクリエイション
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